次期型となるR36型GT-Rは開発されるのか?

日産のフラッグシップスポーツカー「GT-R」は、2007年に登場したR35型が2025年2月28日をもって生産終了となることが発表されました。​これにより、次期型となるR36型GT-Rの開発に関する関心が高まっています。​本記事では、R36型GT-Rの開発状況や可能性、そして市場への影響について考察します。

R36型GT-Rの開発の真相

日産GT-Rが持つ存在感は単なるスポーツカーという枠組みを超えています。それは「技術の日産」を象徴する象徴的な存在であり、日本の自動車産業の誇りともいえるモデルです。そんなGT-Rの次期型、すなわち「R36型GT-R」が開発されているのかという疑問は、2025年にR35型の生産終了が発表されたことで再び注目を集めるようになりました。まず初めに理解しておくべきは、R36型の開発について日産から公式に明確な発表がない、という事実です。これが、ユーザーや業界関係者、そしてGT-Rファンたちの憶測を呼ぶ最大の原因となっています。しかしながら、情報筋や関係者の発言、過去の発表やショーカーの公開などを精査すると、確かに水面下では「R36型」というコンセプトが存在している可能性は極めて高いと考えられます。

コンセプトカーの存在

その証拠の一つが、2021年に日産が公開したコンセプトカー「Nissan Vision GT」や、モーターショーで登場したEVスーパーカー「Nissan Hyper Force」です。これらのモデルは、直接的にはGT-Rを名乗っていないものの、GT-RのデザインDNAを色濃く受け継いでいると多くのメディアや専門家が分析しています。特にHyper Forceは、フロントグリルの処理やリアのテールランプ形状に至るまで、R35型GT-Rの意匠を踏襲しており、将来的な「R36」のプロトタイプであると捉える向きも少なくありません。また、2024年初頭には、日産の技術開発担当役員が「GT-Rの次期型については電動化を前提に検討している」との趣旨のコメントを海外メディアに対して行っており、この発言はR36開発の存在を間接的に裏付けるものとなっています。ただし、この「電動化」が完全なEVを意味するのか、あるいはハイブリッドを意味するのかについては明言されていません。いずれにせよ、R36型GT-Rが誕生するには、従来の開発方針とは一線を画したアプローチが必要になるということは間違いないでしょう。

古い基本設計

R35型GT-Rが2007年にデビューして以来、フルモデルチェンジを一度も受けていないことも、R36開発の必要性を示す要素となっています。R35は17年以上にわたって改良を続けてきましたが、さすがに基本設計が時代に合わなくなってきており、特に最新の環境規制や安全基準には対応が難しくなっています。実際に、GT-Rは北米や欧州ではすでに販売が終了しており、日本国内でも2025年をもって幕を閉じることが正式に決定しました。これらの事情を鑑みると、日産がGT-Rというブランドを維持するためには、新たな世代を打ち出すしかないことは明白です。

EV時代の流れ

しかし一方で、開発における障壁も少なくありません。最大の障壁の一つは、GT-Rが象徴してきた「内燃機関による圧倒的なパフォーマンス」という価値観が、EV時代においてどのように引き継がれるかという点です。エンジンサウンドや振動、そしてレスポンスといった感覚的な魅力を備えたGT-Rが、無音で滑らかに走るEVになったとき、そのアイデンティティを保てるのかという疑問は、技術者にとってもユーザーにとっても大きな課題です。

水野和敏の退任

さらにR35型GT-Rを開発した立役者である水野和敏氏がすでに日産を退職している点も、R36開発の進行に一抹の不安を与えています。水野氏の手法は極めて独創的で、徹底したテストと性能至上主義によりGT-Rを唯一無二の存在へと昇華させました。そのような「唯一無二の哲学」を次の世代がどのように引き継ぎ、昇華させるかという点も、開発の成否を左右するカギとなるでしょう。

経済的な問題

また、資金面も大きな壁となっています。GT-Rのような少量生産のハイパフォーマンスモデルは、利益率が低く、企業全体の収益への寄与は限定的です。電動化や自動運転、次世代モビリティの開発にリソースを集中させている日産にとって、GT-Rのようなプロジェクトは一種の“賭け”となります。そうした状況下でもなお、「GT-R」というブランドを守り続けるかどうかは、日産の企業哲学そのものが問われる選択といえるでしょう。それでも、世界中のGT-Rファンは次期型の登場を信じて待ち続けています。SNSやフォーラム、YouTubeチャンネルには、R36に関する予想レンダリングやコンセプト、性能予測などが日々アップされ、数百万回再生されることも珍しくありません。この「熱意」こそが、GT-Rを単なる車ではなく「文化」にまで昇華させた証拠であり、その期待を裏切ることは日産にとってブランド価値の毀損にもなりかねないのです。総じて、「R36型GT-Rの開発の真相」は明確な形で語られてはいませんが、数々の兆候と期待、そして技術的・経済的な制約の中で、日産が慎重に、しかし着実にその可能性を探っていることは確実です。R36という名前で登場するかどうかはともかくとして、新しい世代のGT-Rが「技術の日産」を体現し、世界のスーパースポーツ市場に再び旋風を巻き起こす日は、そう遠くないのかもしれません。

R36型GT-Rがなりうる可能性

次期型GT-Rが現実のものとなるか否か、そしてどのようなパワートレインを採用するかは、日産にとっても難しい判断が求められる問題です。R36型GT-Rが「何になりうるか」という問いには、テクノロジーと市場のニーズ、そして日産が大切にしてきたGT-Rブランドの哲学が深く関わっています。近年の動向を踏まえると、R36型GT-Rは従来のピュアガソリンエンジン車とは一線を画し、ハイブリッド、あるいは完全電動化されたスーパースポーツとして開発される可能性が高いと考えられています。GT-Rというモデルは、常に時代の最先端技術を取り入れることで他社に対する優位性を保ち続けてきました。R32型でATTESA E-TSやSUPER HICASを、R35型で独自のデュアルクラッチトランスミッションと電子制御四輪駆動を採用したように、R36でもまた技術のフラッグシップとなることが期待されています。

ハイブリッド

まず現実的なアプローチとして挙げられるのが、ハイブリッドモデルの採用です。既存のVR38DETTエンジンに電気モーターを組み合わせた「パフォーマンス・ハイブリッド」は、環境規制に適応しつつ、従来のGT-Rファンが求める“エンジン音”や“ダイレクトな加速感”をある程度維持することが可能です。日産にはe-POWERという電動パワートレインの技術的蓄積がありますが、これをGT-Rのようなハイパフォーマンスカーに転用するには、さらなる高出力化が不可欠となります。

完全なEV化

一方で、完全EVとしてのGT-R、すなわち「ピュア電動スーパーカー」としてR36が登場するシナリオも無視できません。日産はアリアやサクラといったEVを市販化しており、その中で蓄積されたバッテリー技術やモーター制御技術をフル活用することで、新しい形のGT-Rを作り上げることは不可能ではありません。特に2023年のジャパンモビリティショーで公開された「Hyper Force」というEVスーパーカーは、明らかにGT-Rを想起させるデザインとコンセプトを有しており、「これはR36の先行モデルではないか」という声も少なくありませんでした。

進化してもライバルは数多く

また、R36型GT-RがもしピュアEVとして登場するならば、Tesla Model S PlaidやPorsche Taycan、Rimac NeveraといったグローバルなハイパフォーマンスEVと競い合うポジションに置かれることになります。そのような市場で勝負をするためには、日産がこれまでにないレベルの技術投資と開発スピードを求められることになります。とはいえ、GT-Rの根底には「日常でも使える超高性能」というコンセプトがありました。したがって、R36もまた、単にサーキットで速いだけでなく、街乗りでもストレスなく乗れる利便性や快適性を兼ね備えたモデルであることが期待されます。その意味でも、バッテリーサイズや充電性能、インフォテインメントシステムの使い勝手など、EVとしての完成度が問われることになるでしょう。結論として、R36型GT-Rはハイブリッド、またはピュアEVとして登場する可能性が高く、いずれにせよ“ゼロからの再設計”が必要な新時代のスーパーカーとして位置づけられることは間違いありません。そして、その開発が実現すれば、GT-Rはまた新たな時代の象徴となるはずです。技術、哲学、情熱——すべてが結集された「次のGT-R」がどのような姿で我々の前に現れるのか、期待を持ってその瞬間を待ちたいと思います。

新型GT-Rが市場に与える影響

次期GT-Rの登場は、スポーツカー市場全体に大きな影響を与えると考えられます。以下に、その影響について考察します。

スポーツカー市場におけるGT-Rの位置づけ

GT-Rは、日本を代表する高性能スポーツカーとして、国内外で高い評価を受けてきました。​次期GT-Rの登場により、スポーツカー市場における日産の存在感が再び強化されることが期待されます。​また、他メーカーにとっても刺激となり、スポーツカー市場全体の活性化が期待されます。​

国産スポーツの減少

近年、環境規制や市場の変化により、国産スポーツカーのラインナップが減少しています。​その中で、GT-Rのような高性能スポーツカーの存在は貴重であり、次期GT-Rの登場は、国産スポーツカー市場の維持・発展に寄与する可能性があります。

まとめ

次期型となるR36型GT-Rの開発については、正式な発表はないものの、開発が検討されていることは確かです。​EV化やカーボンニュートラルの実現、開発体制の変化など、さまざまな課題が存在しますが、GT-Rの伝統とブランド価値を継承する新型モデルの登場が期待されています。​今後の動向に注目し、日産の発表を待ちたいと思います。

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