【国産高級セダンの頂点】レクサスESとクラウンはどっちがいい?

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高級セダンとして人気を誇る「レクサスES」と「トヨタ・クラウン」。同じトヨタグループながら、それぞれが異なる魅力を持っています。本記事では両車を価格やデザイン、走行性能、装備、維持費の視点で徹底比較し、どちらがあなたにとって最適な選択肢なのかを詳しく解説していきます。
レクサスESとクラウンの基本情報

高級セダンとして人気の「レクサスES」と「トヨタ・クラウン」は同じトヨタ系列ながら性格の異なるモデルです。それぞれの基本的な特徴や価格帯を理解することで、自分に合った一台が見えてきます。まずは両車の成り立ちや特徴、そして価格帯の違いについて見ていきましょう。
レクサスESの特徴

レクサスESはレクサスブランドのミッドサイズ高級セダンです。1989年に北米で誕生したレクサスは、欧州の高級車にも匹敵する世界基準のプレミアムブランドを目指して開発されました。ESはその中核モデルの一つで、上質な内装や先進技術、高度な安全性など「世界基準」の高級車らしい特徴を備えています。日本市場には2018年に初導入され、従来日本専売だったトヨタ・ウィンダム(海外名ES)の後継として約12年ぶりに復活しました。

具体的な特徴として、レクサスESは静粛性と快適性に優れています。ハイブリッド専用モデル(ES300h)ではエンジン停止時に電動モーター走行となり驚くほど静かで、車内にはアクティブノイズキャンセリングまで搭載されています。柔らかなレザーや木目調パネル、金属アクセントを効果的に配した内装は、触れた瞬間から高級感が伝わります。スイッチ類やシートの作り込みも精緻で、視覚・触覚の両面から乗員をもてなす設計です。ドアを閉める音や間接照明の演出といった「見えない部分」へのこだわりも徹底されており、まるで高級ホテルのラウンジのような静けさと上質さを味わえる車内空間を実現しています。走行面では、レクサスESは前輪駆動(FF)プラットフォームを採用しており、直列4気筒2.5Lエンジン+モーターのハイブリッドパワートレインのみがラインナップされています。システム出力は約218PSで、燃費性能はWLTCモードで20km/L台前半という優れた数値を誇ります。ゆったりと滑らかな加速フィールで、日常走行から長距離ドライブまでドライバーを優雅な気持ちにさせてくれる走りが特徴です。総じてレクサスESは、「ラグジュアリーな日常」を提供することを重視したモデルと言えるでしょう。
クラウンの特徴

トヨタ・クラウンは日本国内向け高級車の象徴ともいえる存在です。1955年の初代登場以来トヨタのフラッグシップセダンとして長い歴史を誇り、官公庁や企業の公用車などにも広く採用されてきました。「いつかはクラウン」のキャッチコピーで知られるように、日本社会で高級車の代名詞として根強いイメージを築いてきたモデルです。現行クラウン(15代目・通称S220系)は2018年にデビューし、従来の「おじさんセダン」的イメージを脱却して若々しくスポーティな路線も取り入れ再評価されました。クラウンの特徴は快適な乗り心地と実用性の高さを両立している点です。伝統的に後輪駆動(FR)を採用し、エンジンも多彩で、ガソリンターボからハイブリッドまで複数のパワートレインが用意されています。現行型では2.0L直4ターボ(245PS)や2.5Lハイブリッド(システム出力約226PS)、さらには3.5L V6マルチステージハイブリッド(359PS相当)といった力強いエンジンも設定され、走行性能にもこだわっています。またサスペンションには電子制御AVS(可変ダンパー)を採用するグレードもあり、フラットで安定感のある乗り心地を実現しています。ハンドリングは軽快で小回りも利きやすく、日本の道路事情に適したサイズ感・取り回しの良さもクラウンの魅力です。

内装面ではクラウンは質感と実用性をバランスさせたアプローチです。シートのホールド性やメーターデザインなど随所に工夫が凝らされており、スポーティグレードの「RS」系ではシンプルで機能的なレイアウトが採用されています。レクサスESほど華美な演出こそ抑えられていますが、その分ドライバー視点での使いやすさや操作性に優れ、「使ってわかる上質さ」を感じさせるインテリアとの評価も多いです。伝統の重厚感を保ちつつ最新技術も盛り込み、信頼感と安定感のある高級車に仕上がっているのがクラウンと言えるでしょう。近年クラウンはセダン以外にも「クロスオーバー」「スポーツ(SUVクーペ風)」「エステート(ワゴン)」といった派生モデルを展開し始め、クラウンというブランド全体で多様なニーズに応える戦略を取っています。それでもセダン型クラウンは依然として国内高級車の柱であり、「伝統と革新」を体現する一台として健在です。
価格帯の違い

両車の新車価格帯を比較すると、クラウンの方が手が届きやすい価格帯から設定されており、レクサスESはそれよりやや高めの価格帯になっています。クラウンの新車価格がおおよそ435万円~830万円であるのに対し、レクサスESは約590万円~710万円程度に設定されており、スタート価格もESの方が高めです。例えばクラウンの中核グレードである「2.5ハイブリッドRS」が600万円前後から選べるのに対し、レクサスESのエントリーであるES300h無印でも約600万円強となっており、基本的にはレクサスの方が割高になります。この価格差にはブランド価値の違いや標準装備の充実度の差が反映されています。レクサスESはプレミアムブランド車らしく、クラウンに比べて内装素材の質感向上(本木目や本革の多用)、高度な静粛性技術(ANCや二重ガラスの採用)、先進機能の標準装備などが充実しており、その分価格も上乗せされている形です。具体的な要因としては以下の点が挙げられます。
- ブランドプレミアム:レクサスのエンブレムによる所有価値の高さ
- 上級装備の標準化:ムーンルーフや高級オーディオなどESは標準装備が充実
- 内装の上質さ:本革シートや木目パネルなど素材自体がワンランク上
一方でクラウンも価格なりに上質な装備を備えており、「価格以上に満足度が高い」というコストパフォーマンスの良さが評価されています。例えば最新のクラウンにはトヨタセーフティセンスやコネクティッド機能が全車標準で、上級グレードでもレクサスほど極端に高額にはなりません。そのため「必要以上に価格をかけたくないが高級感は欲しい」という場合、クラウンは魅力的な選択肢となります。まとめると、価格面ではクラウンの方がお求めやすく、レクサスESはより高級志向のプライスタグが付いています。装備内容まで考慮するとその差は妥当と言えますが、予算重視であればクラウン、有形無形のプレミアム価値を重視するならレクサスESと、重視ポイントによって見方が変わるでしょう。
デザインと外観の比較

レクサスESとクラウンはデザインアプローチにも明確な違いがあります。ここではエクステリアデザインの違いと、ボディサイズや存在感の違いについて比較します。スタイリングの好みや車の大きさによる扱いやすさは、日々の満足感に直結するポイントです。それぞれのデザイン哲学と外観上の特徴を確認してみましょう。
デザイン

外装デザインに関して、レクサスESは流麗でモダンなスタイリングが特徴的です。レクサス独自のスピンドルグリルをフロントに大胆に配し、クーペを思わせる滑らかなルーフラインを持つなど、国際的な感性で洗練されたフォルムに仕上がっています。グローバル市場を意識したスタイリッシュなデザインであり、リアビューもセダンでありながらクーペのような優美さを湛えている点が印象的です。若々しく個性的なデザインを求めるユーザーには、ESの外観は強い魅力となるでしょう。

一方のクラウンは長年培われた「日本の高級車らしさ」をデザインに反映しています。現行クラウン(15代目)のエクステリアは先進性を取り入れつつも歴代の威厳を感じさせる風格あるスタイルです。フロントマスクは大きなクラウンエンブレムとメッシュグリルが堂々と配置され、サイドからリアにかけてはセダンらしい重厚なプロポーションで安定感を演出しています。特に後席側のCピラー付近の造形などに伝統的な直線基調が残されており、全体として格式と落ち着きを強調したデザインと言えます。クロスオーバーSUV風の派生モデルが登場したとはいえ、セダンのクラウンには依然として「ザ・高級車」的な威厳があります。伝統的な高級感や威風堂々とした佇まいを重視するなら、クラウンのデザインがしっくりくるでしょう。なお、レクサスESはグローバルモデルらしくボディカラー展開も豊富で、鮮やかなレッドやブルーなどモダンな色も似合います。一方クラウンはホワイトパールや黒など定番色が人気ですが、スポーティグレードでは鮮烈な色も選べます。デザインの方向性は違えど、どちらも洗練された高級セダンであることに変わりなく、エレガンス(ES)とトラディショナル(クラウン)の対比が楽しめるでしょう。
ボディサイズと存在感

車格を表すボディサイズにも違いがあり、それが扱いやすさや車両の存在感に影響します。レクサスESはクラウンより全体的に一回り大きく、明らかに大型のボディサイズです。具体的には、ESのボディ寸法は全長約4,975mm×全幅1,865mm×全高1,445mmで、クラウン(15代目セダン)の全長4,910mm×全幅1,800mm×全高1,460mmと比べると長さで約65mm、幅で65mm程度も大きくなっています。ホイールベースは逆にESが2,870mmでクラウンが2,920mmと、クラウンの方が若干長い設計です。これはクラウンが後席重視の設計であることを示しています。このサイズ差により、レクサスESは室内の広さや伸びやかなシルエットで優位に立つ一方、都市部での取り回しや駐車場での制約では不利になる場面があります。例えば全幅1,865mmというサイズは、日本の機械式駐車場の制限値(だいたい1,850mm前後)をわずかに超過してしまうため、立体駐車場によってはESが入庫できないケースもあります。また最小回転半径もESが5.8~5.9mなのに対し、クラウンは5.3~5.5mと小回り性能ではクラウン有利です。狭い路地やUターンなどではクラウンの方が扱いやすく感じるでしょう。

一方、レクサスESのワイド&ローなボディは走行中の存在感において強烈です。全幅の広さと低めの車高、長い全長が相まって、道路で並んだ際にもひときわ目を引く風格があります。特にリアオーバーハングが長くゆったりとした伸びやかなスタイルは、後続車から見ても高級クーペのような存在感を放ちます。クラウンも日本車としては大柄な部類ですが、幅1800mmに収まるサイズ感は日本の街並みに調和しやすく、駐車場でも「ギリギリ大きすぎない」絶妙なラインです。そのためクラウンは日本の道路環境にフィットしたサイズであり、上品さと実用性を兼ね備えた存在感と言えます。要するに、室内空間のゆとりや見た目の迫力を取るならES、日常の扱いやすさや駐車適合性を取るならクラウンという棲み分けになります。広々とした車内でゆったり移動したい人にはESが魅力ですし、狭い駐車場事情が気になる人や日本の道路にベストマッチなサイズが良い人にはクラウンが安心でしょう。
走行性能・乗り心地

走行性能と乗り心地の違いも、レクサスESとクラウンを選ぶ上で重要なポイントです。エンジンや駆動方式の違いが走りの性格を左右し、静粛性や乗り味のセッティングがそれぞれの個性を形作っています。ここではパワートレイン(エンジン性能)とハンドリング安定性・乗り心地に注目し、両車のドライブフィールを比較します。
エンジン性能

レクサスESとクラウンでは、採用しているパワートレイン構成が根本的に異なります。レクサスESは先述のとおり2.5L直列4気筒ハイブリッド(FF駆動)のみの展開で、環境性能と静粛性を重視したセッティングです。システム総出力は218PS程度で、発進加速から中高速巡航まで電動モーターのトルクアシストにより滑らかかつ十分な加速力を発揮します。エンジン単体の最高出力は約178PS(131kW)ですが、モーターが低速から高トルクを補うため日常走行では力不足を感じさせません。またハイブリッドならではの優れた燃費効率により、WLTCモード22.3km/Lという高い燃費性能も達成しています。

一方のクラウンは、グレードによってエンジンが選べるマルチパワートレイン戦略となっています。代表的なものとして2.0L直4ターボエンジン(245PS・FR駆動)と2.5L直4ハイブリッド(226PS相当・FR駆動)が挙げられます。2.0Lターボ搭載の「クラウン2.0 RS」では最高出力245PSを発生し、低回転からターボ特有の力強いトルクでスポーティな加速を楽しめます。一方ハイブリッド仕様のクラウン(2.5L THS-II)は、システム出力こそESと近いものの、FR駆動らしいダイレクトな加速フィーリングが持ち味です。特筆すべきは最上位グレードに設定されていた3.5L V6マルチステージハイブリッドで、こちらはシステム出力354PSに達し10速AT相当の変速制御を持つなど、動力性能ではレクサスESを凌駕する加速力を発揮しました。もっとも3.5Lモデルは燃費がWLTCモード約18.0km/L程度とハイブリッドとしては控えめで、燃費重視なら2.5Lハイブリッド版(20km/L前後)が選ばれる傾向にあります。まとめると、レクサスESは燃費・静粛性重視のハイブリッド専用車、クラウンはグレード次第でパワフルな加速も楽しめる多彩なエンジン展開という違いがあります。燃費や環境性能を重視するならES300hが有利で、実用燃費はリッター20kmを超える優等生です。一方「車は馬力や走りの力強さも大事」という方には、クラウンのターボエンジン搭載グレードや大排気量ハイブリッドが魅力的でしょう。パワフルな走りを求めるならクラウン、静かで経済的な走りを求めるならESと覚えておくと選びやすくなります。
走行安定性

走行安定性やハンドリング、乗り心地の味付けにも両車の個性が表れます。まず駆動方式の違いによるハンドリング特性ですが、レクサスESは前輪駆動(FF)ゆえに直進安定性が高く、高速道路をゆったり巡航する際に安定した挙動を示します。ハンドルを切った際の応答はマイルドで、どちらかといえば穏やかで安心感のあるステア特性です。長めのホイールベースと車重(約1.7トン)の効果もあり、高速域でも路面に吸い付くような直進性が感じられ、長距離でも乗員が疲れにくいセッティングとなっています。サスペンションも柔らかすぎず適度にコシがあり、路面の凸凹をいなしてフラットな乗り心地を提供してくれます。「乗っていて優雅な気持ちになれる」という表現はESの乗り味を端的に示しているでしょう。

対するクラウンは後輪駆動(FR)ベースの設計だけあって、ハンドリングの軽快さが光ります。ステアリング応答は俊敏で、小回り性能も先述のように優れています。車両の前後重量配分が50:50に近いことから、コーナリング時には素直に鼻先が入っていき、ドライバーが思ったラインをトレースしやすい特性があります。特にスポーツ志向の「RS」グレードでは足回りが引き締められており、ロールも少なくキビキビとしたコーナリングが楽しめます。一方でクラウンは乗り心地の面でも高級セダンらしい快適性を備えており、通常グレードではサスペンションが路面の突き上げをしなやかに吸収して安定感のある乗り味です。総合的にはクラウンは「スポーティさと快適さのバランス型」であり、運転の楽しさと同乗者の快適性を両立しています。

静粛性については、多くの比較テストで「レクサスESに軍配が上がる」と評価されます。ESには前述のアクティブノイズキャンセリングが搭載され、エンジンルームやフロア下にも徹底した遮音・吸音対策が施されています。ハイブリッドシステムにより市街地ではエンジン停止状態も多く、図書館のような静けさだというオーナーの声もあるほどです。クラウンも静粛性は国産トップクラスで、最新モデルでは遮音ガラスや大量の吸音材で高速走行でも会話やオーディオがクリアに楽しめる水準ですが、細部までノイズ対策を突き詰めたESには一歩譲る部分があります。ただしクラウンのエンジン音はスポーティにチューニングされていることもあり、「静かすぎず適度にエンジン音が聞こえる方が好き」という向きにはクラウンの方がフィーリングが合う場合もあります。総じて、レクサスESは重厚で安定志向の乗り味、クラウンは軽快でハンドリング志向の乗り味とまとめることができます。高速クルージングを極上の静けさで堪能したいならES、山道やカーブを積極的に走って楽しみたいならクラウンが向いています。また、雪道や悪天候下での走行を考えると、クラウンには4WD(E-Four)設定が一部あった点も付記しておきます。いずれにせよ、走りのキャラクターは両車で明確に異なりますので、自分が重視する「走りの質」に合わせて選ぶのが良いでしょう。
装備・安全機能の比較

車の魅力を語る上で、搭載されている装備や安全機能の充実度も見逃せません。レクサスESとクラウンはいずれも最新のテクノロジーを盛り込んだ高級車ですが、その装備内容や先進安全技術には細かな違いがあります。ここでは安全装備と快適装備に分けて、両車の装備面の特徴を比較してみます。
最新の安全装備

レクサスESとクラウンはいずれもトヨタの最新安全パッケージを備えており、安全性能ではトップクラスです。ただし搭載しているシステムの世代に若干の差があります。レクサスESは「Lexus Safety System +」を搭載し、歩行者検知機能付きプリクラッシュセーフティ(自動ブレーキ)やレーンキープアシスト、アダプティブクルーズコントロール(全車速追従)、オートマチックハイビームなどがひと通り網羅されています。発売から時間が経ったとはいえ、2021年の商品改良でシステムのアップデートも行われており、高速道路での車線維持支援や緊急時操舵支援(ステアリングアシスト付きプリクラ)なども備わっています。

対するクラウンの最新モデル(※ここでは15代目セダンおよび派生クロスオーバーを含む)は「Toyota Safety Sense」の最新版を採用しており、安全装備面ではレクサスに劣らず充実しています。特筆されるのは、直近の改良で二輪車の検知にも対応したプリクラッシュセーフティや、プロアクティブドライビングアシスト(先読み減速・操舵支援)、そして高度駐車支援システム「Advanced Park」までオプション設定されていることです。レクサスESには現時点で「Advanced Park(自動駐車)」機能は搭載されていないため、この点はクラウンのアドバンテージと言えます。また夜間の歩行者・自転車検知能力についても最新クラウンは強化されており、より幅広い状況で衝突被害軽減ブレーキが作動するようになっています。両車共通の装備としては、ブラインドスポットモニター(後側方接近車両検知)、リアクロストラフィックアラート(後退時の車両接近警報)、ドライバー異常時対応システム、パノラミックビューモニター(全周囲カメラ)などが挙げられます。衝突安全の面でも、最新の衝突試験レートで高評価を得るボディ構造とエアバッグ(クラウンは計11個、ESも同程度)を備えており、安全性能の土台はどちらも非常に高い水準です。まとめれば、安全装備の充実度はほぼ互角だが最新機能の一部でクラウンが先行という状況です。例えば自動駐車機能やドライバー異常時の停車支援などはクラウンがいち早く取り入れているポイントです。もっともレクサスESも基本的な先進安全は網羅していますので、日常での安全性に差が出るほどではありません。強いて言えば、「最新ガジェット好きで最先端機能も使ってみたい」という方にはクラウン、「成熟したシステムで信頼性重視」という方にはレクサスESが向いているかもしれません。
快適装備の充実度

快適装備とは、乗員が快適に過ごすためのインテリア機能や便利装備のことです。レクサスESとクラウンはいずれも高級車らしく多彩な快適装備を持ちますが、ブランドポジションの差から細かな違いが見られます。まずシート周りの装備です。レクサスESでは前席はパワーシート(電動調整)で記憶機能付き、シートヒーターとベンチレーション(送風機能)を標準装備しています。後席にもシートヒーターが備わるグレードがあり、「おもてなし」を重視した装備内容です。クラウンも上級グレードでは前席パワーシートやシートヒーターは備わりますが、ベンチレーションはメーカーオプション扱いでした。後席の快適性についても、ESはリクライニング機構や電動リヤサンシェードを備えるのに対し、クラウンは手動式サンシェードのみ(グレードによる)などの差があります。つまり、レクサスESの方が細部にわたり快適装備を充実させている印象です。実際、ESに乗ると前後席とも柔らかく身体を包み込むシートと相まって、移動中も極上のリラックス空間となっています。

次にオーディオ・空調関連では、レクサスESはプレミアムオーディオブランドのマークレビンソン製サウンドシステム(17スピーカー)をオプション設定し、クリアな高音質を楽しめます。クラウンもJBLプレミアムサウンドシステム(16スピーカー)をオプション設定していましたが、音響へのこだわりはレクサスの方が一歩先を行きます。また空調面では両車とも左右独立温度調整のデュアルエアコンを採用していますが、ESではさらに後席用エアコン吹き出し口やナノイー発生器など細かな部分まで配慮されています。細部ではルームランプ類がESは全てLEDかつ調光機能付きだったり、アンビエントライト(間接照明)の演出パターンがあったりと、レクサスならではの凝った演出が見られます。

一方でクラウンにもユニークな快適装備があります。例えばディスプレイオーディオ+T-Connectナビによるコネクティッドサービスや、デジタルインナーミラー、リモートエンジンスタート(スマホ連携)など、実用的な先進装備は早期に取り入れられました。レクサスESもこれらの機能は順次搭載されましたが、クラウンの方がトヨタ車として量販モデルゆえに早くから設定されていた面もあります。またクラウンはヘッドアップディスプレイ(フロントガラス投影式表示)を全車にオプション設定し、安全と快適の両面で運転をサポートします。総じてクラウンは日常の使い勝手を向上させる実用装備に強く、レクサスESは所有する喜びを高める演出装備に強い傾向があると言えます。とはいえ、両車とも快適装備は十分すぎるほど整っており、「不足を感じる」ということはまずないでしょう。おもてなし精神あふれる細やかな装備充実度はESに軍配、必要十分かつ実用的な装備はクラウンが抜かりないといったところです。例えば、「触れて感じる高級感」を求めるなら細部まで凝ったESの装備に満足できるでしょうし、「使いやすさや実用性」を重視するならクラウンの手堅い装備内容に安心感を覚えるでしょう。
コスト・維持費の比較

最後に、購入後のコスト面について比較します。高級車とはいえ長く乗る上では経済性も無視できません。ここでは燃費を含む日々のランニングコスト、定期メンテナンスにかかる費用、そして数年後のリセールバリュー(中古価値)について検討します。維持費と資産価値の視点でESとクラウンに違いがあるのか、確認してみましょう。
燃費

燃費性能はハイブリッド専用モデルのレクサスESが有利です。ES300hのWLTCモード燃費は約22.3km/Lと、公称値でクラウンのどのグレードよりも高くなっています。実際の街乗りや高速道路での実燃費も、おおむね15~20km/Lと良好で、2トン近い高級セダンとしては驚異的な経済性を誇ります。一方クラウンの燃費は選ぶエンジンによって大きく異なります。2.5LハイブリッドのクラウンであればWLTCモードで約20.0km/L前後と健闘しますが、2.0Lターボエンジン仕様ではWLTCモード約12.4km/Lと半分近い数字になってしまいます。3.5Lハイブリッド仕様でも18km/L程度ですから、燃費だけ見ればES300hが突出して優秀です。この差は日々の燃料代にも表れます。年間1万km程度走行すると仮定すると、ES300hでは年間のガソリン代がおよそ8万円前後で済む計算になるのに対し、クラウン2.0ターボでは15万円ほどと約倍近くかかる計算です。ハイブリッドのクラウン同士で比べても、ESの方が年間数万円は燃料費を抑えられる見込みです。もちろん燃料費以外の維持費もありますが、長く乗るほどこの差は蓄積して効いてきます。

ただし、燃費以外の要素も考慮する必要があります。例えば燃料の種類ですが、クラウンのガソリンターボ車はハイオク指定であるのに対し、ES300hおよびクラウンのハイブリッド車はいずれもレギュラーガソリンでOKです。ハイオク車だと燃料単価自体が高いので、ターボのクラウンRSはさらに維持費が増すことになります。また自動車税に関しては、ESもクラウンも排気量2.5Lクラスなので年額は同じです(どちらも現在の税制では45,000円/年)。ハイブリッドだからといって税金が安くなるわけではない点には注意が必要です。総合すると、レクサスESの方が日常の燃料費を大幅に節約でき、トータルの維持費を低く抑えやすいという結論になります。実際、「年間の維持費はESの方が約7万円程度安くなる」という試算もあります。もっとも、ESはハイブリッド機構が複雑な分、車検時のハイブリッドシステム点検などで費用が若干嵩む可能性も指摘されています。しかしガソリン代の差で十分それを補って余りあるでしょう。日々の燃料コストや環境性能を重視するなら、レクサスESに軍配が上がります。
メンテナンス費用

定期点検や部品交換などのメンテナンス費用も、両車で大きな差はないものの若干の傾向があります。基本的に中身はどちらもトヨタ車ですから、故障しにくさや部品の信頼性は折り紙付きです。ただし、ディーラーでの工賃や部品代はレクサスブランドの方が高めに設定されているケースがあります。レクサス車の場合、ディーラーで受けられるサービス(洗車や代車含む)は手厚い反面、その分工賃がトヨタ店より割高になることがあります。一方クラウンはトヨタ店扱いのため比較的リーズナブルな費用感でメンテができるとの声もあります。例えばブレーキパッドやバッテリー交換一つとっても、レクサスES用純正部品は高品質な分価格が高めで、結果としてクラウンの方が整備コストは抑えやすいとも言われます。またタイヤサイズはESが17~19インチ、クラウンも同等ですが、銘柄によっては「Lexus指定」の静粛性重視タイヤなどがあり、交換費用が高額になる場合があります。ただしこれはユーザーの選択次第で、市販同等品を使えばクラウンと変わらない費用で済ませることも可能です。

車検費用に関しては、重量税・自賠責保険などの法定費用は両車ほぼ同じです(重量もほぼ同じクラス)。違いが出るとすればハイブリッドシステム関連の点検でしょう。ESはハイブリッドバッテリー冷却ダクト清掃など独自の点検項目があり、その分の工賃が追加になります。クラウンにもハイブリッド車がありますが、2.5Lハイブリッドのシステムは比較的シンプルで、3.5LマルチステージHVは少数なのであまり一般的ではありません。総じてレクサスESはメンテ費用がやや高めになる可能性があり、クラウンは「トヨタの量販車」として整備工場等でも対応しやすく維持費を抑えやすい傾向があります。もっとも、レクサスオーナーには充実したアフターサービスも提供されます。例えばレクサスケアメンテナンスプログラムによって新車3年間の定期点検費用がパッケージ化されていたり、24時間対応のオーナーズデスクでメンテナンス相談ができたりします。そうした付加価値を考えると、一概に費用の多少だけで語れない部分もあります。結論としては、「費用優先ならクラウン、サービス体験も含めた充実感を取るならレクサスES」といった選び方になるでしょう。
リセールバリュー

最後にリセールバリュー、つまり将来的な中古車価格の残価について比較します。一般的に、高級車のリセールは人気やブランド力に左右されますが、レクサスESとクラウンでは若干事情が異なります。レクサスESは国内導入から年数が浅く、中古市場での流通量がまだ少ないモデルです。そのため需要に対して供給が少なめで、中古価格が下がりにくい傾向があります。実際、年式の新しいESは新車価格に近い水準で取り引きされている例もあり、3年落ちでも残価率が70~80%に達するケースが見られます。特にレクサスブランド全般に言えることですが、ブランド力が中古市場でも評価されやすく、高品質なハイブリッドセダンということで海外輸出需要もあり、中古相場が高止まりしやすいのです。さらにESの場合、日本市場での販売台数自体がクラウンに比べて少なく「希少性」があるため、玉数が少ない分価値が落ちにくい面もあります。総合的に見て、レクサスESはリセールバリューが高く資産価値を維持しやすい車種と言えるでしょう。

一方、クラウンは長年人気車種であったことから中古車市場での玉数も多く、選択肢が豊富です。需要も安定してある反面、供給も多いため中古価格は相応の水準に落ち着きやすいです。特に法人需要などで大量に新車登録された後、数年で市場に出回る個体も多く、年式による価格下落が大きめなのがクラウンの特徴です。例えば3年落ちクラウンはグレードによりますが残価率50~60%程度と、レクサスESより低めの傾向が見られます。もっとも中古車在庫が豊富なおかげで、購入者側にとっては値ごろな中古クラウンを選びやすいメリットでもあります。リセールという視点では売るときの値が付きにくいものの、買う段ではお手頃に手に入るという裏表の関係です。なお、クラウンの中でも特別仕様車や限定車、あるいは最上位の3.5Lモデルなどは中古でプレミアが付く場合があります。しかし一般的にはリセール面ではレクサスの方が有利と見て良いでしょう。レクサスブランドの価値保持力、そしてハイブリッド人気の高まりによって、ESの中古評価は今後も高めに維持されると予想されます。特に3〜5年後の下取り価格では、おそらくESがクラウンを上回る状況が続くでしょう。したがって、将来の売却価値まで考慮するならESの方が経済的メリットが大きいと言えます。もっとも車の価値は金銭面だけではありません。クラウンには伝統の安心感や国内需要の安定性がありますし、レクサスESにはグローバルブランドゆえの信頼感とステータスがあります。それぞれの強みを踏まえ、自分がどの価値を重視するかで選択が変わってくるでしょう。維持費やリセールまで含めて総合的に検討すれば、きっとご自身にピッタリの一台が見えてくるはずです。
最後に
要点
- レクサスESは静粛性・燃費・内装の上質さが特徴で、プレミアム志向のユーザーに適している。
- クラウンは日本の道路環境に適したサイズ感や多彩なパワートレイン、コストパフォーマンスの高さが魅力。
- 装備や安全性能は両車とも非常に充実しているが、ESは細部の高級感、クラウンは最新機能や実用性に強みがある。
- 維持費やリセールバリューを含めた総合力では、予算やライフスタイルに応じて最適な選択が分かれる。
レクサスESは静粛性や燃費性能、上質なインテリア、ブランド価値などが魅力で、プレミアムな体験を重視する方に適しています。一方クラウンは日本の道路事情に合ったサイズ感や手頃な価格帯、走行性能の多様性などが特徴です。あなた自身が重視するポイントを明確にし、最適な一台を選びましょう。
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