BMW 8シリーズは売れてない?故障リスクのほか不人気で選ばれない理由

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BMW 8シリーズはなぜ「売れていない」と語られるのか。本記事では、価格と維持費、市場のSUVシフト、電装系を中心とした故障リスクの実像を整理しました。さらに、圧倒的な存在感と高速巡航の快適性という長所を踏まえ、フラッグシップGTを選ぶべきかを多面的に考察しています。
BMW 8シリーズとはどんな車?

(出典:当サイト)
フラッグシップモデルとしての位置づけ
8シリーズは、BMWのグランドツアラー系フラッグシップとして、クーペ/コンバーチブル/グランクーペ(4ドア)を擁する上級レンジです。生産はドイツのディンゴルフィング工場で行われ、現行世代(G14/G15/G16)は2018年に復活しました。日本市場では主要グレードが2024年6月で生産終了となり、以降は在庫販売が中心となっています。ラストを飾る「M850i xDrive The Final Edition」の設定もあり、モデルライフ終盤であることが示唆されています。(ウィキペディア, BMW Japan)
高級感あふれるデザインと性能
ロングノーズ&ロールーフの伸びやかなプロポーションに、直6「840i」とV8「M850i」を用意。いずれも高速巡航を得意とし、上質な内装と最新インフォテインメントを備えます。独誌/米誌の評価でも「洗練された内外装と力強いパワートレーン」「長距離での快適性」が長所として挙げられており、日常からロングツーリングまで“余裕のある速さ”を楽しめるのが特長です。(Car and Driver)
ライバル車との比較
ライバルは「Porsche Panamera」「Audi A7/RS7」「Mercedes-AMG GT 4-Door」など、いずれも“速くて、贅沢で、実用性もある”4座GT系。8シリーズは官能性や華やかさで勝負する一方、後席頭上空間や価格競争力では骨の折れる相手が多いのも事実です。選び方は“スタイリングの好み”と“長距離での快適性重視”かで差が出ます。(Car and Driver)
BMW 8シリーズが売れていない理由

(出典:当サイト)
高額な価格設定による購入ハードル
日本の「840i Gran Coupé」は1,358万円~、「M850i xDrive The Final Edition」は1,888万円と、スタート地点から高額です。米国でも価格帯は9万ドル級からで、そもそもの間口が狭いセグメントです。価格が高いほど装備は豪華になりますが、減価の大きい輸入上級車では“総所有コスト”を意識する購入者が多く、初期価格の高さが販路を狭めています。(BMW Japan, Car and Driver)
維持費や修理コストの高さ
10年間の予想メンテ費は8シリーズで約1万5千ドル、M8グランクーペでは約1万6,700ドルとされ、同クラス平均より高めという試算も出ています。消耗品やタイヤ(大径/ランフラット)、ブレーキ、電子制御系の複雑さが費用を押し上げます。中古での保証切れ後は、単発修理の一撃が重い点も“敬遠理由”になりがちです。(CarEdge)
需要の少ないクーペ・カブリオレ市場
欧州ではSUV人気がセダン/クーペを侵食し、コンバーチブルの需要縮小が指摘されています。グローバルでもSUVのシェアは2023年に48%へ到達し、ボディタイプ嗜好がはっきりと“背の高い実用セグメント”へ傾きました。2ドアやオープンは趣味性が高い反面、家族ユースや積載性で不利になり、裾野が狭くなっています。(Autovista24, IEA)
国産高級車やSUV人気との競合
日本では輸入車全体のシェアが伸び悩む年もあり、強いブランド力を持つ国産勢(とくにSUV/ミニバン)に需要が流れます。8シリーズの日本向け主要グレードが2024年に生産終了・在庫販売となった事実からも、ボリューム獲得が難しいことがうかがえます。(Asian Automotive Analysis (AAA), BMW Japan)
故障リスクと信頼性への不安

(出典:当サイト)
輸入車特有の故障リスク
J.D. Powerのスコアでは8シリーズの「品質&信頼性」は83/100と良好ながら、電子装備が多い上級輸入車は部品単価や工賃が高く、軽微な不具合でも請求額が張りがちです。つまり“壊れやすい”というより“壊れた時の負担が大きい”のが実情で、心理的なハードルにつながります。(J.D. Power)
電装系トラブルの指摘
専門修理網や中古ガイドでは、変速制御やブレーキ系の警告、各種センサー/インフォテインメント周りの不具合など、個別事例の報告があります。頻発というほどの統計は見えませんが、上級BMWらしく“電子制御由来の小さな厄介事”が散発する可能性は織り込むべきです。(BimmerShops, What Car?)
長期維持にかかるコストと不安
長く乗るほど保証範囲は狭まり、故障時の実費負担は増えます。10年トータルの想定メンテ費は前述の通りで、タイヤ/ブレーキ/足まわりや電子部品交換の単価も高水準。延長保証やメンテパックを“最初から予算化”しておくのが、上級BMWを安心して楽しむコツです。(CarEdge)
それでもBMW 8シリーズを選ぶ価値

(出典:当サイト)
圧倒的な存在感とラグジュアリー性
シンプルに“見栄えが良い”という価値は大きく、流麗なシルエットと上質キャビンは同乗者をも魅了します。内装の作り、静粛性、装備の質感は価格相応に高く、フォーマルな場面にも似合う“所有の喜び”が濃いモデルです。終盤の日本限定「The Final Edition」も、その希少性を後押しします。(Car and Driver, BMW Japan)
高速走行時の快適性と走行性能
直6の840iは滑らかで十分速く、V8のM850iは圧倒的な余力を誇ります。実測0-60mph 3.7秒級(M850i)という加速と、ロングツーリングでの落ち着きは“GTの理想形”。一方で乗り心地はコンフォート/スポーツを使い分けられ、日常域での扱いやすさも確保しています。(Car and Driver, Edmunds)
本当に「売れていない」のか?

(出典:当サイト)
米国では2024年の8シリーズ販売が5,345台で、BMW全体371,346台の約1.4%にとどまります。ニッチであることは事実ですが、モデルの性格(高額・嗜好性が強い)を踏まえると“想定内のボリューム”とも言えます。日本では主要グレード生産終了という事実があり、マーケット事情の違いも販売実績に反映されています。(ベストセラー車)
最後に

(出典:当サイト)
販売を難しくする主因は高い初期費用と維持費、そして縮小するクーペ需要です。ただし「壊れやすい」よりも「壊れた時が高い」が実態でした。一方で、上質な内装と余裕ある走り、希少性は強い訴求点です。総所有コストを理解したうえで価値に共感できるなら、8シリーズは満足度の高い選択になります。
要点
- フラッグシップGTとして魅力は大きい一方、価格と維持費が高く、クーペ/カブリオレ市場縮小やSUV人気の逆風で販売が伸びにくいです。
- 故障件数が突出するわけではありませんが、電子装備の多さゆえ修理費が高額化しやすく、心理的ハードルになります。
- それでも存在感、上質な内装、高速域の快適性は同格屈指で、希少性も含め“指名買い”する価値があります。
参考文献
- BMW Japan「8シリーズ グラン クーペ」価格/日本向け生産終了案内(2024年6月)および「M850i xDrive The Final Edition」告知。(BMW Japan)
- Car and Driver「BMW 8-Series(Gran Coupe)」レビューと性能評価。(Car and Driver)
- Best-Selling-Cars.com「2024年 米国BMW車名別販売(8シリーズ:5,345台)」。(ベストセラー車)
- BMWBLOG「8シリーズの米国販売動向(2025年Q1の落ち込み等)」。(BMW BLOG)
- J.D. Power「BMW 8 Series:品質&信頼性スコア」。(J.D. Power)
- CarEdge「BMW 8 Series / M8 Gran Coupe の10年維持費試算」。(CarEdge)
- BimmerShops「G14/G15/G16 8 Seriesの一般的な症状」。(BimmerShops)
- Autovista24「コンバーチブル需要縮小の分析」、IEA「SUVシェア48%」。(Autovista24, IEA)
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