ハリアーの盗難率は本当に高いのか?

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ハリアーはトヨタの人気SUVとして高い支持を集めますが、「盗難に遭いやすいのか」という問いにはデータで答える必要があります。本記事は、損保統計や警察資料を基に、ハリアーの盗難率の位置づけ、最新の犯行手口、効果的な対策、そして実例と被害実態を整理しました。結論として“最上位の標的”ではないにせよ、電子化した盗難が進む現在は多層防御が不可欠です。
ハリアーの盗難率が高いと言われる理由

(出典:闘志エンジン)
トヨタ車全体で盗難被害が多い背景
国内の自動車盗は、海外転売や「ヤード」での解体を前提にした組織的犯行が中心で、特に人気の高いトヨタ系SUV・ミニバン・ハイブリッドが重点的に狙われます。警察庁は盗難車の不正輸出・解体の実態を示し、犯罪組織の資金源になっていると注意喚起しています。実際、直近の警察資料でも盗難台数の上位に「ランドクルーザー」「アルファード」「プリウス」などが並び、トヨタ勢の人気と流通量の大きさが被害分布に直結していることが読み取れます。こうした市場側の要因が、同じく人気SUVである「ハリアー」にも波及しているのは確かです。 (警察庁)
ハリアーが狙われやすい3つの要因
- 中大型SUVゆえの国際的需要と、共通部品の流用価値の高さ。中古部品の換金性が高く、解体型の窃盗にも適しています。
- スマートキー普及に伴う電子攻撃(CANインベーダー等)への曝露。警視庁は左前部付近の配線へ不正接続して解錠・始動される手口を明示し、物理ロックの併用を勧めています。
- 流通台数が多い現行〜近年モデルの価格水準。高年式ほど保険金額が高く、窃盗側の“費用対効果”が上がる傾向があります。 (警視庁)
盗難率の実際のデータと全国ランキング
損保各社の支払データ(日本損害保険協会)では、2023年の「車両本体盗難」でハリアーは37件・構成比1.4%と上位10車種に入っていました。一方、最新の2024年集計では上位10車種からは外れ、上位は「ランドクルーザー」「アルファード」「プリウス」が占めています。つまり“最上位クラスほどではないが、人気SUVとして一定の狙われやすさが続いている”というのが妥当な評価です。なお同調査の2024年は1件あたり支払保険金が281.5万円と上昇しており、被害の金銭的打撃は重くなっています。
最新の盗難手口とその特徴

(出典:闘志エンジン)
リレーアタックによるスマートキーの悪用
スマートキーの微弱電波を中継・増幅して解錠・始動する手口です。屋内のキーでも玄関先に近ければ狙われる可能性があり、キーを遮断ケースに入れる・節電モードを設定するなどの基本対策が有効です。警察の防犯資料でも、スマートキー電波遮断ケースの活用が推奨されています。 (福岡県警察)
CANインベーダーによる電子制御システムの突破
車両左前部付近の配線に不正接続してCAN通信へ侵入し、解錠・始動を実行する高度な電子攻撃です。物理的に“鍵を壊さない”ため周囲から異常が見えにくいのが特徴。警視庁は左側に作業スペースを作らない駐車や物理ロックの併用、ディーラーでの追加セキュリティ相談を勧めています。全国向けの注意喚起でも「CANインベーダー等の被害多発」が明記されています。 (警視庁)
積載盗難という大胆な手法
レッカー車やクレーン付きトラックで丸ごと積み去る“積載盗難”も確認されています。電子対策をすり抜けるために用いられ、短時間で現場から消失するのが脅威です。車止めポール・タイヤロック・防犯カメラの組み合わせで、“運び出しの難しさ”を高めるのが現実的です。 (みんなの車とバイクの盗難情報|最新の盗難情報まとめサイト)
盗難犯の行動パターンと時間帯の傾向
支払データでは発生の約6割が「深夜〜朝(22〜9時)」に集中します。さらに警察庁は鍵のない状態(キーなし)で被害に遭う割合が75.2%(令和6年)と示しており、電子手口や物置きキーの悪用が依然として主流であることが分かります。夜間帯の管理と電波・CAN対策の優先順位は高いと言えます。
ハリアーオーナーが取るべき盗難対策

(出典:闘志エンジン)
スマートキーの電波遮断グッズの活用
玄関付近や車両近傍にキーを置かないのは大前提として、電波遮断ケース(ファラデーポーチ)での保管、キーの節電モード設定、スペアキーの保管徹底が基本です。地方警察の防犯チラシでも遮断ケース活用が推奨されます。家庭内の置き場は玄関から離れた金属製ボックスにすると効果が安定します。 (福岡県警察)
CANインベーダー対策としてのセキュリティ強化
- 左前側に人が入り込めない駐車(壁寄せ・車止めポール)と常時照明で作業性を下げる。
- ハンドル/タイヤロックなど物理系を常用し、追加イモビ/傾斜・侵入センサー連動アラームは専門店かディーラーで導入を相談。
- OBD周りの物理ガードや防犯用ボディカバーも併用すると抑止力が上がります。 (警視庁)
GPS追跡装置やドライブレコーダーの有効性
万一の追跡・発見確率を上げるため、独立電源型GPSロガーやクラウド型ドラレコの同時搭載を勧めます。警察の啓発資料でもGPS追跡装置の活用が推奨されています。取り付け位置は複数・分散が基本で、シガー電源タイプに頼らない隠蔽設置が望ましいです。 (警察庁)
駐車場所と防犯カメラの重要性
自宅はセンサーライト+録画型カメラ+侵入経路の遮断をセットにし、外出先は管理者常駐・明るい区画を優先。月極は照度と人通り、周辺の逃走経路の少なさで選びます。ナンバー読取対応のカメラは事後の手掛かりになります。警察資料の指針に沿って“音・光・時間・人の目”を積み上げるのが肝要です。 (警察庁)
実際の盗難事例と被害の現実

(出典:闘志エンジン)
近年発生したハリアー盗難事件の概要
2025年5月、茨城県警が県南・県西地域で「ハリアー」の盗難増加をSNSで注意喚起しました。民間の盗難情報サイトでも同時期につくばみらい市でハリアー盗難が報告されるなど、地域・時期によって局地的に狙われるケースがあります。年式や対策の有無に関わらず、集中警戒が出たエリアでは一段の防御を意識すべきです。 (新車・中古車の自動車総合情報サイト〖carview!〗)
保険会社の統計から見る被害金額の傾向
損保協会の最新調査では、2024年の車両本体盗難の1件あたり支払保険金が281.5万円まで上昇しました。高機能化・高価格化した人気車の被害が保険金の重さに直結しており、同じ1件でも家計インパクトが拡大しているのが現在地です。被害件数が微減でも「被害の深刻度」が増す構図は看過できません。
被害に遭ったオーナーの声と体験談
個別の実名体験談は割愛しますが、「一度盗まれると戻らない例が多い」という現場認識は各種報道・啓発で繰り返し指摘されています。見つかったとしても破損・事故履歴・書類再発行など回復コストが大きいのが実情です。だからこそ“盗まれにくい状態を常に作る”という発想が重要で、上記の多層防御を日常の習慣に落とし込むことが最大の対策になります。 (くるまのニュース)
最後に

(出典:闘志エンジン)
ハリアーの盗難リスクは、人気・流通量・部品価値の高さゆえ無視できません。統計的にはトップ常連ではなくても、深夜帯に電子手口で短時間に奪われる傾向が明確です。電波遮断+CAN対策+物理ロック+GPSという重ね合わせが、最も費用対効果に優れた現実解です。地域の注意喚起や駐車環境の見直しも合わせ、日々の運用で“盗まれにくい状態”を作り続けることが重要です。
要点
- 直近の統計ではハリアーの盗難は“常に最上位”ではないものの要警戒です。損保協会の2023年調査でハリアーは車両本体盗難9位(37件・1.4%)、2024年は上位10車種外でした。
- 主要手口は電子化。リレーアタックとCANインベーダーが中心で、さらにレッカー等で車ごと持ち去る積載盗難も警察庁が警告しています。(警視庁)
- 発生は夜間〜朝方に集中。2024年の車両本体盗難は「深夜〜朝(22〜9時)」が59.3%で最多でした。
参考文献
- 一般社団法人 日本損害保険協会「第26回 自動車盗難事故実態調査結果(PDF)」https://www.sonpo.or.jp/about/useful/jidoshatounan/pdf/news_24-30.pdf (損保ジャパン)
- 警察庁 生活安全局「自動車盗難等の発生状況(令和7年・2025年、PDF)」https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/bouhan/car/2025zidoushatounan.pdf (警察庁)
- 警視庁「『自動車盗』の防犯対策(CANインベーダー/リレーアタックの説明と対策)」https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/higai/guard/car_bohan.html (警視庁)
- 静岡県警「リレーアタックについて」https://www.pref.shizuoka.jp/police/keisatusho/simoda/kurashi/relay_attack.html (静岡県公式サイト)
- 茨城県警察 公式X「【トヨタハリアーの盗難に注意】(注意喚起ポストhttps://x.com/ibarakipolice/status/1922124644456235094 (X (formerly Twitter))
- 令和7年上半期の車名別盗難状況(警察庁)https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/bouhan/car/R7kamihankizidoushatounan.pdf (警察庁)
※本文の数値・順位・時間帯構成比は上記公的資料(損保協会・警察庁)の最新版に基づいています。
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