【ベンツAクラスは壊れる】故障率と維持費をわかりやすく解説

「ベンツAクラスは壊れやすい」と耳にする一方で、実際に長くトラブルなく乗っているオーナーも多いモデルです。口コミだけでは、実態がなかなか見えにくいですよね。この記事では、Mercedes-Benz A-Classのモデル概要から、故障の傾向、ドイツTÜVやADACのデータに基づく信頼性、そして日本での維持費の目安まで、できるだけデータと実例を交えながら整理していきます。(ウィキペディア)

ベンツAクラスとは？魅力と特徴をチェック

Aクラスの基本情報とモデル概要

Aクラスは、Mercedes-Benzの中で最もコンパクトな「エントリーモデル」に位置づけられるハッチバック／セダンです。現行型は4代目となるW177型で、2018年に登場しました。ボディは5ドアハッチバックのW177と4ドアセダンのV177があり、プラットフォームは前輪駆動ベースのMFA2を採用しています。(ウィキペディア)

エンジンは1.3Lターボの「A180」「A200」、2.0Lディーゼルの「A200d」、プラグインハイブリッドの「A250e」、さらに高性能な「Mercedes-AMG A35」「Mercedes-AMG A45 S」までラインナップ。どのグレードでも最新のMBUXインフォテインメントや先進安全装備が搭載され、「小さいけれど中身はしっかりメルセデス」というキャラクターがAクラスの核となっています。(ウィキペディア)

日本で人気の理由とユーザー層

日本では、取り回ししやすいサイズ感と「Mercedes-Benz」というブランド力のバランスの良さから、都市部を中心に高い人気があります。特にA180／A200dは車両価格・税金ともに上位クラスより抑えめで、初めて輸入車に乗る人や、コンパクトなプレミアムカーを求める若い層・女性ユーザーから支持されています。(楽天Car)

また、Aクラスセダンは後席とトランクが使いやすく、ファミリーのセカンドカーや、郊外に住む共働き世帯のメインカーとして選ばれるケースも目立ちます。中古車市場にも流通量が多く、「予算は抑えつつベンツに乗りたい」というニーズに応えやすいモデルになっています。(BE FORWARD: Japanese Used Cars for Sale)

国産車との違いと高級感のポイント

Aクラスが国産コンパクトと違って感じられるポイントは、おおよそ次のようなところです。

• しっかりしたボディ剛性と静粛性による、高速道路での安定感
• MBUXを中心とした大型ディスプレイやアンビエントライトなどの「見た目の豪華さ」
• シート形状やステアリングのフィーリングなど、長距離でも疲れにくいドライバー重視の作り

さらに、新車であれば3年間の無償メンテナンスプログラム「メルセデス・ケア」が付き、法定点検やオイル・ブレーキ関連などの交換部品がパッケージ化される点も国産大衆車との違いです。4年目以降も「メンテナンスプラス」「保証プラス」などの延長パッケージが用意されており、追加費用を払うことで故障時のリスクをかなり抑えられる仕組みになっています。(CARPRIME)

ベンツAクラスは本当に壊れやすい？

故障が多いといわれる理由

「Aクラス＝壊れやすい」というイメージは、主に以下の要因が重なって生まれています。

1つは、初代W168／2代目W169時代にサスペンションや電装系、CVTなどに不具合が多かった歴史です。当時のイメージが、今も「Aクラスは不安」という印象として残っています。(autorevue.at)

もう1つは、3代目以降で採用されたターボエンジン＋デュアルクラッチトランスミッション（7G-DCT）が、構造的に複雑で、メンテナンスを怠るとトラブルにつながりやすいこと。実際、国産車と比べて「変速ショックが出る」「警告灯が点灯する」といった相談が整備工場に寄せられている事例があります。(整備屋)

さらに、「輸入車＝部品が高く、ディーラー修理も高額」という先入観もあり、たとえ故障頻度がそこまで高くなくても「1回壊れると印象が強く残る」ことも、評判を悪くしている要因と言えます。(会社王)

よくある故障箇所とその症状

Aクラスで報告されがちなトラブルは、世代によって多少違いがありますが、傾向としては次のようなものが挙げられます。(ハイエンドモーターズ)

• エンジンオイル漏れ
  タペットカバーやオイルパンのパッキン劣化などで滲みや漏れが発生。駐車場の下に油染みができる、焦げたような匂いがする、といったサインがあります。
• デュアルクラッチトランスミッション（7G-DCT）の不調
  発進時のジャダー（ガクガク）、ギアが入らない、警告灯点灯など。症状が進むとメカトロニクスやクラッチ部の高額修理が必要になることもあります。
• 電装系トラブル
  パワーウインドウが動かない、ナビやモニターがブラックアウトする、センサー類の警告が頻発するなど、電子制御部分の故障は輸入車全般で多い項目です。
• 足回りのブッシュ・ショックの劣化
  段差での異音や直進時のフラつきが出るケースがあり、走行距離や年式が進んだ個体ほど要注意です。

こうしたトラブルの多くは、「メンテナンス不足」「オイル管理の甘さ」「経年劣化の見落とし」がきっかけになることが多いです。エンジンオイル漏れも、滲みの段階で修理すれば軽傷で済むのに、放置して油がハーネスやゴム部品にかかると、電装トラブルを誘発し修理代が一気に跳ね上がります。(benz-seibi.jp)

また、DCTは「オイルは無交換でOK」とされていても、実際には定期的なオイル交換や学習リセットを行うことで変速ショックが軽減し、寿命も伸ばせるという報告が専門工場から出ています。(整備屋)

つまり、Aクラスの「壊れやすさ」は、クルマそのものの設計よりも、「輸入車らしい繊細さに見合った手入れをしているかどうか」で差がつきやすい、と言い換えられます。

新型モデルで改善されたポイント

3代目W176以降、Aクラスはプラットフォームや電子制御が刷新され、信頼性も年々改善しています。ドイツのADACがまとめるPannenstatistik（故障統計）では、2012年以降のAクラスは概ね「良い〜非常に良い」という評価で、特に2013〜2014年式は故障発生率が低いグループに入っています。(FNP)

さらに、TÜV-Report 2024・2026では、8〜11年経過したAクラスの「重大な不具合」を指摘された割合が同年代平均よりかなり低く、コンパクトクラスの中でも上位の成績であると報告されています。(autorevue.at)

日本の中古車情報サイトでも、「現行型Aクラスは頻繁に壊れるモデルではない」というトーンの記事が増えており、初期の世代に比べると信頼性は明らかに底上げされていると考えてよさそうです。(carsensor)

故障率と修理費用を徹底分析

故障率のデータと国産車との比較

Aクラスの「日本国内での正確な故障率」を示す公的統計は公開されていませんが、車検を担当するTÜVのデータをみると傾向は見えてきます。TÜV-Report 2024では8〜9年落ちのMercedes-Benz A-Klasseの重大な不具合率は1桁台、10〜11年落ちでも10％前後とされ、同じ年式の平均（20％前後）より明らかに低い水準です。(autorevue.at)

また、TÜV-Report 2026では10〜11年落ち車の「長期品質」でメーカー別ランキングが発表され、Mercedes全体が最も低い不具合率を記録し、その中にはAクラスも含まれます。(tuev-verband.de)

つまり「壊れやすいどころか、しっかりメンテナンスされたAクラスは、同クラスの中古車の中でもむしろ優等生寄り」と見るのが、ヨーロッパの客観的データからの結論です。ただし日本では走行距離が少ない代わりに短距離・チョイ乗りが多いなど使われ方が違うため、オイル管理やバッテリー管理を怠ると統計以上にトラブルを招きやすい点には注意が必要です。

修理費が高くなる理由

Aクラスの修理代が「高い」と感じられやすい理由は、主に次の通りです。(benz-seibi.jp)

• 部品価格が国産車より高い
  エンジンオイル漏れひとつ取っても、ガスケット類・シール類の部品代が純正品でそれなりの金額になりがちです。
• 工賃が長くなりやすい
  エンジンルームがタイトで、欧州車独特の構造もあって、同じ作業でも国産車より工数がかかるケースがあります。
• ディーラーは高めの価格設定
  正規ディーラーでは診断機を使ったチェックや純正指定オイルなど、品質重視のぶん整備単価も高く設定される傾向があります。
• トランスミッションや電装系は「丸ごと交換」になりがち
  7G-DCTやECUなどはユニットAssy交換が基本で、数十万円単位になりやすい作業です。一方、輸入車専門工場では部分修理で費用を抑える例もあります。

結果として、「故障頻度はそこまで高くないが、ひとたび壊れると国産車より出費が大きい」という構図になり、多くの人が「ベンツは維持費が高い」と感じるわけです。

故障リスクを下げるための対策

とはいえ、Aクラスの故障リスクは乗り方とメンテナンス次第でかなりコントロールできます。ポイントを整理すると、次のような対策が有効です。(benz-seibi.jp)

• 新車〜3年目までは「メルセデス・ケア」をしっかり活用し、定期点検をサボらない
• 4年目以降は、メンテナンスプラスなどの延長保証を付けるか、輸入車に強い整備工場を確保する
• 年1回または1万kmを目安にエンジンオイルを交換し、走行距離・年数に応じてDCTオイルも早めに交換する
• 車検・点検のたびに下回りのオイル滲み、ブーツ類の割れ、ブッシュの劣化を確認してもらう
• 安すぎる中古車は避け、整備記録の残った個体を選ぶ（TM23などの専門店も、整備の重要性を繰り返し強調しています）

こうした「予防メンテナンス」を意識すれば、故障率そのものだけでなく、1回あたりの修理金額もかなり抑えられます。

ベンツAクラスの維持費はいくらかかる？

年間維持費の目安（税金・保険・燃費など）

維持費は走行距離や住んでいる地域、駐車場代などで大きく変わりますが、日本の複数の試算をまとめると、Aクラスの年間維持費はおおよそ次のイメージになります。

• 新車のA180／A200dを一般的な条件で所有
  税金・保険・車検按分・燃料などを合計して、年間約20万〜35万円程度という試算があります。(会社王)
• 上記に都市部の月極駐車場代を加えたケース
  楽天Carの試算では、Aクラスの年間維持費の目安を35万〜55万円としています。(楽天Car)
• 整備済み中古Aクラス（年間1万km前後）
  消耗品中心の整備であれば、年間5万円前後＋予備費10万円ほどを見ておけば安心、という中古専門店のデータもあります。(TEAM MANOME)

国産コンパクトカーよりはやや高めですが、「ベンツだから桁違いに高い」というほどではなく、使い方次第で十分現実的な範囲に収まる金額と言えます。

車検や整備にかかる費用の内訳

車検費用の内訳を具体的に見てみるとイメージが掴みやすくなります。Aクラス中古車の例として、ディーラーで車検を受けた場合の費用明細を公開している整備工場のケースでは、

• 法定2年点検・検査費用・代行手数料・テスター診断・廃棄物処理料
• 自賠責保険・重量税
  といった「必須コスト」だけで合計12万〜13万円程度、ここにブレーキフルードやオイル、ブレーキパッドなどの消耗品交換が加わると、トータルでは十数万円〜20万円台になることが多いとされています。(TEAM MANOME)

新車の場合は、3年間の「メルセデス・ケア」でこのあたりのメンテナンス費用がほぼカバーされ、4〜5年目も「メンテナンスプラス」を契約すれば、2年間分の点検・消耗品交換をあらかじめ定額で押さえておくことができます（ガソリン車で約13万円、ディーゼルやAMGはそれより高めの価格設定）。(CARPRIME)

維持費を安く抑えるコツ

同じAクラスでも、選び方と付き合い方で維持費はかなり変わります。ポイントは次の通りです。(楽天Car)

• 燃費と税金を考えるなら、A180やディーゼルのA200d、エコカー減税対象だったA250eなど、排気量・環境性能に優れたグレードを選ぶ
• 新車〜5年目までは「メルセデス・ケア＋メンテナンスプラス＋保証延長」を組み合わせ、予期せぬ出費をサブスクリプション的に平準化する
• 任意保険は「輸入車だから高い」で決めつけず、複数社で相見積もりを取る（保険会社各社は、国産・輸入の区別ではなく型式別料率で保険料を決めています）
• 4〜10年目以降は、ディーラーと輸入車専門工場を賢く使い分けることで、品質を保ちつつ工賃を抑える

このあたりを意識すれば、「ベンツだから維持費が読めない」という不安はかなり小さくできるはずです。

賢く乗るためのポイントと選び方

中古Aクラスを選ぶときの注意点

中古のAクラスは価格帯の幅が広く、お買い得車も多い一方で、「安さの裏にリスクが隠れている」ケースもあります。中古専門店のレポートでも、整備をほとんどせず現状販売される輸入車は、その後の修理代が年間50万〜100万円に達することもあると警告しています。(TEAM MANOME)

そこで、特に注意したいポイントを整理します。

• できれば3代目W176（2012年以降）か4代目W177を狙い、初代・2代目の「高年式・高経年」個体は避ける
• 車検証・点検記録簿で、オイル交換や主要部品交換の履歴がしっかり残っているか確認する
• あまりに相場より安い車は、修復歴や過走行、メンテナンス不足を疑う
• ディーラー認定中古車なら保証は手厚いが、「整備内容が最低限」という指摘もあるため、状態確認は他店以上に念入りに行う

このあたりを押さえておくと、「買った直後に高額修理」というリスクをかなり減らせます。(FNP)

故障リスクを見極めるチェック項目

実際に中古のAクラスを見るときは、次のような項目をチェックすると故障リスクの目安になります。(benz-seibi.jp)

• エンジンルームと駐車場の下
  オイル滲みや漏れ跡がないか、下回りに湿りや汚れがないかを確認。
• トランスミッションのフィーリング
  発進時にガクガクしないか、D→Rの切り替えでタイムラグやショックが大きくないか試乗でチェック。
• 電装系の動作
  パワーウインドウ、ドアミラー、ナビ／MBUX画面、エアコン、バックカメラ、各種スイッチ類を一通り操作してみる。
• 足回りからの異音
  段差を乗り越えるときにコトコト音がしないか、真っ直ぐ走っているのにステアリングが取られないか。
• 診断機によるエラーコード
  可能なら、整備工場や販売店で診断機を接続してもらい、蓄積されたエラーコードがないか確認する。

こうした点検を事前に行えば、見た目はきれいでも「中身が疲れ切った個体」をつかんでしまう確率を大きく下げられます。

Aクラスを「安心して」乗るうえで、保証の活用は非常に重要です。新車登録から3年以内の車なら、メルセデス独自の「メルセデス・ケア」が残っていることが多く、一般保証・メンテナンス保証・24時間ツーリングサポートがセットで付帯します。(CARPRIME)

正規ディーラーの認定中古車では、これに加えて1〜2年の延長保証が上乗せされるケースもあり、エンジン・トランスミッション・電装品といった高額部品も保証範囲に含まれることが一般的です。一方で、中古専門店の中には「認定中古車でも整備は最低限である」と指摘し、自社で徹底整備を行ったうえで独自保証を付けるスタイルを取っているところもあります。(TEAM MANOME)

どちらが正解というより、「保証内容（何年／どこまでカバーか）」と「納車前整備の中身（どこまで分解・交換しているか）」を具体的に確認し、自分の予算と安心感のバランスで選ぶことが大切です。

最後に

Aクラスは、昔のイメージほど「壊れやすいクルマ」ではなく、むしろ適切に整備された個体は統計上も良好な信頼性を持つことが示されています。一方で、DCTや電装系などが故障した場合の修理費は国産コンパクトより高くなりやすく、メルセデス・ケアやメンテナンスプラス、信頼できる整備工場の存在が安心材料になります。維持費の相場感と故障リスクのポイントさえ押さえれば、プレミアムコンパクトとしての質感と安全性を、無理のないコストで長く楽しめるモデルだと言えます。

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